2年くらい前の話です。
とある凄腕エンジニアの方(Aさん)とお茶をしてた時のこと。

熊谷 エンジニアが採用できないと言われている経営者が多いんですけど、どこに問題があるんですかね。

と聞くと、彼はこう答えました。

Aさん 僕も企業で働いてましたけど、エンジニア出身じゃない経営者の場合、エンジニアの捉え方がそもそも間違っている場合が多いんですよ。

熊谷 捉え方が間違っている?

Aさん そう、捉え方。エンジニア出身じゃない経営者がよくやってしまう間違いというのは、エンジニアを工場の生産ラインの一部とでも思っている場合がありますよね。

確かにそういう考え方が存在するのは否定できませんでした。

サービスやプロダクトを作る時、納期が存在していて納品をしなければいけないという考え方があります。

いついつまでにローンチしたいから間に合わせてくれという考え方は確かに存在し、それは工場の生産でも同じ考え方があるはずです。

採りたいエンジニアは生産ラインの一部ではなくアーティスト

熊谷 確かに。そういった場合に出くわします。

Aさん 熊谷さんがその生産ラインの一部として働いてくださいと言われたらどうですか?

熊谷 僕はあまり気がすすまないですね。やらなければいけないとしたら、やりますが……

Aさん たぶん世の中のエンジニアも熊谷さんと同じこと思ってますよ。僕のまわりの話ですが、エンジニアを採用したい経営者のエンジニア像って、工場の生産ラインの一部をやりたいと思っている人ではないんです。

熊谷 そうです。そうです。

Aさん どちらかというと、採ろうとしているエンジニアは『生産ラインの一部』ではなく『アーティスト』に近いんです。もしアーティストだとしたら、アーティストが求めるようなことをしていますか?

この時点で企業とエンジニアの間で求めていることに相違があることがはっきりしてきました。

アーティストは何を求めているのか?

熊谷 できていないですね。もし、僕が考えるアーティストであれば、面接なんて面倒臭いって思っていると思います。いや、面接だけじゃなく転職活動なんてできる限りやりたくないと思います。だってアーティストですよね。

Aさん ですよね。でも、そんなアーティストを採用しようとする企業は、採用活動で何をやっていますか?

熊谷 ……。総合職と似たような面接をしていますね。

Aさん そんな会社で働きたくないですよ。

これだけ前提が外れていれば採用できない理由も明確になってきます。

Aさん すべてのエンジニアがアーティストの感覚でいるかというと、そうではないと思います。決められた用件で決められたコードを書く。場合によっては、コードの行数で評価が決まるので、無駄なコードをひたすら書く仕事を選ぶ人もいます。

熊谷 そうですね。

Aさん けど、ここで出てきた経営者はそういった人を採りたいわけじゃないんでしょ。たぶん僕が言ったアーティストに近い人を採りたいと思っているわけです。そこを勘違いしているのであれば、エンジニアの採用は、どれだけ頑張っても成功しないんじゃないですかね。

それまで私は採用手法に問題があるのだろうと、いろいろ考えていたのですがそもそも前提に問題があったことにようやく気付きました。

もしかするとエンジニアの採用だけではなく、その他の職種も時代の変化によって前提が変わってきているのかもしれません。

では何をすればいいのかという話をこの後したのですが、それは今度書こうと思います。
前提が間違っていては、どれだけ努力しても無駄になってしまう。

非常に勉強になった時間でした。